相続セミナーに参加されたり、相続に関する書籍をご覧になった方なら、一度はこの「争族(そうぞく)」という言葉を目にしたことがあるでしょう。誰が考案したのか知りませんが、よく考えられた言葉だと思います。
初めて目にする方の為に概要を解説すると、「相続が原因で家族・親族間で争い事を抱えるようになってしまった状態」を指します。
ドラマなどでは遺産の分割で「自分の取り分を増やしたい」という思いがぶつかり合う事がよく取り上げられますが、現実世界は意外とそうでもないのです。
「財産が不動産しかなく分けるすべがなくて困っている」「もう自宅(持ち家)があるし仕事もあるので、実家や田畑をもらっても困るから引き継ぎたくない」というような事情がもとで「争族」になってしまう事が多々あるのです。
「争族」を防ぐ対策はなかなか難しいのですが、まずは相続対策の定番中の定番、「遺言書を作成しておく」こと。これはまだ元気なうちに行って下さい。作成していく中でご自身の財産の状況について改めて確認する事もでき、使われていない不動産の整理なども検討していただけるのではないかと思います。
また、遺言書の最後に「付言事項」と言って、ご家族へ資産の分割に込めた思いを記しておくことで、遺産分割の理由を知ることができれば争い事が減る可能性は高まります。
また、日ごろからざっくばらんにご家族がお話しできる環境が一番だと考えます。なかなか「自分が死ぬ前提で話すのは・・・」と思われるかもしれませんが、ご自身が相続対策の方針をまとめたら、ご家族と話し合う中で、ご自身の思いを伝えながらご家族の意見を聞き、団結を図っていくのが一番かと思います。
正直な話、いくらか多めに相続税を納税する事になったとしても、「家族の団結」に勝る 相続対策=争族対策 はないと言っても過言ではありません。