土地・建物の買取りや仲介を希望で、価格査定をお受けする事が多々あります。
諸条件を考慮し、現地や役所での調査を実施し、いざ査定価格を提示すると「こんなに手取りが少ないのか!」とおっしゃる方も中にはいらっしゃいます。
さて、査定価格がお客様の思っている以上に低いのはどのような理由でしょうか?
①購入時より大幅に市場相場が下がっている
都市部ほどバブル経済の影響を受けなかったとはいえ、長野県も当時は今より遥かに高い価格で土地取引がなされていました。最近でこそ下げ止まり感があるものの、塩尻市の場合は概ね30年前の5~6割程度と思って良いでしょう。
②土地が「変形地」である
よほど特殊な事情がない限り、お客様は四角に近い整形地を好まれます。旗竿地(道路と敷地が通路でつながっている土地)や台形の土地、出っ張りや引っ込みがある土地はどうしても需要の関係で安く設定せざるを得ないものです。
③土地が「広大地」である
「大は小を兼ねる」と言いますが、広すぎるのも土地購入者の立場からは困るものです。例えば戸建の住宅を建てるのであれば50~100坪もあれば十分ですが、300坪の土地があっても敷地の手入れは大変だし、固定資産税が重くのしかかってきてしまいます。
「それなら分けて売ればいい(分譲)のか」と言うとそれはできません。一般の方がそれをやってしまうと宅地建物取引業法違反(反復継続しての売買)で、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金刑」になってしまいます。
よって、分譲ができるのは宅建業者(不動産屋)だけという事になります。その場合「素材」として土地を仕入れ、造成工事を行って「商品」にした上で周辺相場相応の価格で販売する為、仕入原価=査定価格もそれなりの金額とならざるを得ません。
④建物が存在する
建物の法定耐用年数は木造で20~22年、鉄骨造で19~34年、鉄筋コンクリート造で47年(いずれも国税庁の「減価償却資産の耐用年数表」より)と定められております。
改築を行った等特段の事情がなければ、上記年数を経過した建物の評価は「0」となります。
あわせて、建物が存在することによってその土地の使用方法が制限されるので、「建付地」ということで更地よりも1~2割程度評価を下げざるを得なくなります。
他にも売主の責任として境界の確定や測量にかかる費用、売買に係る仲介手数料、建物のある土地を更地にするなら建物の解体費用等がかかります。
さらに売却して得た収入から経費を引いた額に対し「譲渡所得税」(20.315%~)が課税され、約2割~4割は税金で持っていかれてしまうのです。
※税金に関する具体的なご相談は税務署、または税理士にお願い致します。
これらの理由により、「ネットやチラシで見た近隣の物件」のような価格での査定が出なかったり、手元に残る金額が想像以上に少なくなってしまう事があるのです。
査定はあくまで査定であって、売却価格を最終決定するのは売主様ですから、査定額より高い金額での媒介依頼も当然お受けしますが、査定額とあまりにかけ離れた金額にしてしまうと売れにくくなるリスクがある点はご承知おき頂ければ・・・と思います。