
前回のコラムでは「売主様の責任」を取り上げました。
今回は、ご検討中の方・買主様側から見てみましょう。
大抵の取引では、売主様に比べると責任は軽い事が多いでしょう。
例えばパン屋さんに行ってパンを買うとします。美味しさや値段はともかくとして、「表示通りの商品を、表示通りの価格で販売する」「カビたり腐ったりしておらず、安全な素材を利用し、きちんと食べられるものを提供する」のはパン屋さんの責任です。購入されるお客様が気を付けるとすれば「代金はきちんと支払う」「適切な場所に保管し、消費期限内に食べる」くらいですね。
さすがに不動産の場合そこまで軽くありませんが、注意すべきポイントを挙げてみました。
【ご検討中の方・買主様の責任】
〇資金計画は事前に十分練っておく
全額自己資金で購入してもなお余りある位に余裕のある方は珍しく、ローンを組まれる方のほうが一般的とも言えます。住宅メーカーさんや、大手企業であれば職場の福利厚生の一環で金融機関のあっせんをしてくれる場合があります。ローン完済まで長いお付き合いになるので、どの金融機関にするかはじっくり検討していただきたいと思います。
可能ならば事前審査(正式な審査ではないので、書類等が完璧に揃ってなくても受けられます)を受けてからおうち探し・土地探しをされるのが、手戻りが少なくて良いでしょう。
土地建物を購入される際、諸費用(仲介手数料・上下水道負担金・固定資産税等日割精算・所有権移転登記費用・印紙税等)の存在に気付かず予算を組む方が、一定数いらっしゃいます。購入価格より1割~2割程度、古民家等低廉な物件の場合はさらに余裕をみて予算を組んでおきましょう。
なお、契約時に支払う手付金(売買代金の10%程度までが多いです)・印紙代は契約締結時に現金でご用意頂きます。
〇現地を見に行かれる際は事前にご連絡を
ナビやスマホで現地まで行かれるので、「わざわざ連絡しなくても外観や周辺環境だけなら」とお考えの方は要注意。事前にご連絡がない場合、現在居住中の中古住宅の場合はそこにお住いの方や、土地であっても「売地」看板がないところ(全ての物件に立てている訳ではないのです)では近隣の方から、不審者として通報されてしまう場合もあります。
事前にご連絡頂ければ、そのリスクを低減することができます。
〇所有権移転登記は買主様負担です
契約の手続きが完了し、代金の精算が完了すれば所有権は買主様のものになります。
所有権を主張するには、「所有権移転登記」が必要になります。この手続きはご自身で進める事も不可能ではないですが、万が一の書類不備や手続きの誤りがあった場合に大変なことになりますので、原則として司法書士の先生に依頼して手続きしてもらうようにして下さい。
土地建物の規模や内容により金額は変わりますが、司法書士への報酬と、登録免許税(これはご自身で進めてもかかります)が必要になります。
※どの先生にお願いしても報酬額にそれほど開きはありません。
なお、代金の精算が完了した日が物件引渡し日になります。その日のうちに所有権移転登記の手続きをする為、法務局の開庁時間内に必要な書類一式を持ち込む必要があります。
その為、代金精算・引渡日時は平日の10:00(早くても9:00)~14:00までとさせて頂いております。「平日は出勤」の方も、この日ばかりはお休みを取っていただくようお願いします。

〇不動産取得税
名前の通り、不動産を取得した事によって徴収される税金です。現在は軽減税率が適用されており、評価額(購入価格ではありません)の1.5%となっています。土地建物の評価が定まってから計算されます。
取得後しばらく経って県より請求があるので、納付書に従って納付して下さい。
なお、一定の要件を満たせば軽減措置があり、納めた税金の一部が還付される場合があります。